猟師への挑戦状―B式・W式トラップを山でどう使いますか?
カタログに同封したチラシを見て、このページを開いてくださった方も多いと思います。
今回から3回にわたり、B式とW式という、現在ではあまり見かけなくなった二つのくくり罠をご紹介します。
ただし、単なる商品説明をするための連載ではありません。
罠は、買って置けば獲れるものではなく、獲物の動きや獣道を読み、仕組みを理解し、猟師が山の中で仕上げるものです。
捕獲実績や捕獲効率が求められる今だからこそ、もう一度「この一頭を、どう獲るか」を考える。
そのきっかけとして、B式とW式を取り上げます。
◆あなたは、この二つの罠を説明できますか?
あなたは、この二つの罠を、山でどのように使うか説明できますか?
知らなくても不思議ではありません。
現在よく使われているくくり罠の多くは、踏み板を踏むことで作動します。
一方、今回紹介するB式とW式は、蹴り糸へ触れることで作動する「間接式」のくくり罠です。
同じくくり罠でも、作動のきっかけが違えば、山で考えることも変わります。
◆捕獲実績や効率だけでは、獲れない一頭がいる
最近は、「簡単に使える罠はないか」「もっとよく獲れる罠はないか」という相談を多く受けるようになりました。
狩猟よりも駆除として罠を使う機会が増え、捕獲実績や捕獲効率が求められるようになったからでしょう。
それは、被害を減らすために必要なことです。
しかし、数多く罠を掛ければ、すべての獲物が捕れるわけではありません。
・罠の周囲で足を止める。
・掘り返した場所を避ける。
・一度失敗した場所へ近づかなくなる。
そうした警戒心の強い一頭が残り、被害を出し続けることがあります。
その一頭を獲ろうとしたとき、私たちは考えます。
・なぜ、この個体はここを通るのか。
・どこで警戒しているのか。
・どの足を、どこへ置かせるのか。
・罠はどの方向へ、どのように動くのか。
・これまでの失敗で、何を学習させてしまったのか。
たくさん掛けて獲る技術と、狙った一頭を獲る技術は、同じではありません。
◆罠は、山へ持っていく時点では完成していない
以前は、猟師の方から「こんな仕組みはどうだろう」「この部品をこう動かしたらどうか」と
さまざまなヒントが持ち込まれていました。
私たちは、猟師に教わりながら罠を作ってきた会社です。
罠は買った状態で完成しているものではなく、自分の山に合わせて工夫する道具だということも
猟師の方々から教わりました。
既製品が増えたことで、罠猟を始めやすくなりました。
これは大きな利点です。
現在の標準的な踏み込み式が、多くの方に適していることも間違いありません。
その一方で、説明されたとおりに置けば獲れると思い、空弾きや失敗が起きると
「この罠は獲れない」と判断してしまうことも増えたように感じます。
けれど、どれほどよい罠でも、
・獣道の幅
・足を置く場所
・障害物の位置
・土やにおいへの警戒
・ワイヤーが動く方向
まで考えなければ、その力を十分に生かせません。
「罠は、買って置けば獲れる」――ではない。
山の中で、猟師が現場に合わせて仕上げるもの!
これが、今回の連載で一番伝えたいことです。
◆踏ませる罠と、触れさせる罠
一般的な踏み込み式では、踏み板を踏んだ場所にくくり輪があり、バネと機構がワイヤーを足の上へ導きます。
設置を再現しやすく、現在の標準式として広く使われています。
B式とW式では、獲物が蹴り糸へ触れたことをきっかけに、離れた位置のバネがワイヤーを引きます。
そのため、ただ糸を張ればよいわけではありません。
・どの高さで、獲物のどこへ触れさせるのか。
・その瞬間に、足はどこにあるのか。
・地面を滑るワイヤーを、どうやって足の上へ導くのか。
獲物の動きと罠の動きを重ね合わせ、猟師が現場で仕上げる部分が、より大きい罠です。
◆B式――軽さを生かし、「もう一つ」を山へ
B式は、樹木へ固定した引きバネを使います。
土を大きく掘らずに設置でき、軽く、リュックへ入れて持ち歩けることが特徴です。
「ここにも、もう一つ掛けておきたい」と思った場所へ、背中から取り出して設置できる。
この軽さは、単に荷物を減らすだけではなく、猟師が選べる場所を増やします。
ただし、引きバネを固定できる木が必要です。
蹴り糸とくくり輪の位置、引きバネの癖、ワイヤーを足の上へ導く工夫まで理解して、初めて生きる罠です。
第2回では、B式の設置を説明するだけでなく
・獲物のどこへ蹴り糸を触れさせるのか
・その瞬間に足がどこへあるのか
・ワイヤーをどう導くのか
まで考えます。
◆W式――速さを生かすには、機構の理解が要る
W式は、二つのねじりバネを備えたダブルキックバネを使用します。
トリガーが外れた後、ワイヤーを非常に速く引くことが特徴です。
一方で、ねじりバネは扇形の軌道を描いて動きます。
強いバネがどこへ動くのかを知らずに扱えば、大きなけがにつながります。
高価だから獲れる罠でも、強いから獲れる罠でもありません。
トリガーとバネの動き、安全な取扱いを理解し、その速さを生かす設置ができる経験者のための罠です。
第3回では、
・W式がなぜ速いのか
・複数の安全装置をどう使うのか
・ねじりバネがなぜ壊れにくいのか
を、順にお話しします。
◆どの罠が上か、ではない
B式やW式が、現在の標準式より優れていると言いたいわけではありません。
・今の罠で空弾きが続く。
・掘りにくい場所へもう一つ掛けたい。
・警戒心の強い一頭を狙いたい。
そんなとき、作動の考え方が違う罠を知ることで、山の見方が変わることがあります。
どの罠が上なのかではなく、どこで、どの獲物に、なぜ使うのか。
その答えを考えることも、狩猟の楽しみではないでしょうか。
私たちは、猟師に教わってきた会社です。
教わった技術を、次の猟師へ。
◆次回は、B式をもう少し詳しく
次回は、引きバネ式のB式トラップを取り上げます。
背中に、もう一つ。
その軽さを、単なる持ち運びやすさで終わらせず、「この一頭をどう獲るか」という設置の考え方まで掘り下げます。
次回「B式――もう一度『どう獲るか』を考える、引きバネのくくり罠」へ続きます。
◆ご相談ください
「自分の山でも使えるだろうか」「今の罠との違いを聞いてみたい」と思ったところから、ご相談ください。
猟場や、現在お使いの罠の写真があると、より具体的にお話しできます。
お問い合わせフォーム:https://www.osptrap.co.jp/contact/index.html
電話:097-523-0707(受付 9:00~17:00)
※B式・W式は、機構と安全な取扱いを理解した方向けの罠です。
設置の際は、法令・各地域の規定を守り、人や対象外の動物が触れる可能性も含めて
安全に管理してください。






















こんにちは、Yです。




